Utsumi / Utsumi (Flower Records)

Utsumi / Utsumi (Flower FLRC-013)
Utsumi / Utsumi
(Flower Records FLRC-013)

1. Dscrg 02
2. Elzeviro (Utsumi Remix)
3. In The Mist
4. Takin’ You Underground (Utsumi Remix)
5. Kaze-No-Uta
6. Trilhas (Utsumi Remix)
7. Moments Of Magic
8. A Promise

format: CD & vinyl 2×12″

Utsumi - EP - Izuru Utsumi

なんとなく、、、ブラックホールとしての内海イズル – written by: ヤマタカEYE

内海イズル氏の名前は、ずいぶん前からなんとなく知っていたのだが、なんとなくサバービア系のオシャレなDJという間違ったイメージを勝手に持っていたのでなんとなく敷居が高いというか、自分とはあまり縁がないのでは、と思っていた。

その後ブラジル博士だという話しを聞き興味をもったのだが、DJを聞く機会はないまま。。。
それが近年になって、とあるレイブパーティーのフライヤーに氏の名前を見つけ
オヨヨ?
ブラジル音楽がアウトサイドのそれもトランスのパーティーでかかっているのか?もしかしてジスモンチEMI時代の奇妙でファンシーなテクノポップスが山々にこだましてたりとか?
と想像は膨らみ非常に気になってきた。回りからも内海さんのDJイバヤとかヤバイとかウワサがメラメラと、、、一体どーゆー状況なんだろう?
氏のDJ初体験は青山CAYでのフレデリック ガリアーノのライブの時となった。だるまさんの様な大きな目をフロアに向け光らせDJブースに仁王立ちでやっておられた。かかっていたのはライフフォースで聞くようなサイケデリックなハウス他で相当質の高い気持ち良さを提供して頂いたのであった。

そして遂に自分にとって生涯忘れられない体験がやってきた。
内海氏DJ未知との遭遇第2弾の事。
それも、とあるレイブパーティーであった。朝8時位から氏はDJを始めたのだが、割といきなり私の脳の配線を「バージョンアップの為、一度抜かしてもらいま~す」ズボズボ「はい、つなぎ直しぃ~」バチバチ。。。
私は青空に忽然と浮かぶ魚を見ている気持ちで、アタマから鳩が出そうになった。

そのときの氏は前半ほぼビートレスで美しくも奇妙極まりないMIXをされた。

イカがゆっくりと海底からあがってくる音
ケーブルがショートしてパチパチ弾け飛ぶ音
ときどきピヨピヨいうだけの音
光る風がスプラッシュする音
全周波数音
ピンボールマシンのボールが聞いている音
DUB化したロンパールームでボヨヨンの音

それはそれは不思議な音体験だった。
で当然それら様々な音が揺らめき山々に木々に鳥に風に虫に土に色々(ユニゾン、ハーモナイズ)しているのだった。その時の受けた衝撃は一生忘れられないというより、永遠に、という方が近い。

タイムレスに重要なエンバイロメント体験!うまく言葉にできないが、まぁ、いい家を一件建ててもらったようなものだ。なぜなら私はいつでも、氏が太陽光がさしはじめると共にかけた、あのゴーという地球音、あそこに帰ることができる。だが、ありがとう と言うには不思議すぎるのであった。

あえてあの時を言葉にすれば

ガビーン
ガッビーーーーーーーン
ガビガビビビビィィィィィィィン
ガチョーーーーーーーーーーーん
ウッガビビ
ビ~~~~~~~~ン

であった。

何かが走っている、何かぐわ。
でもとても静か。。。柔らかい。

でもあった。

そう何かが貫いていたのだ。
氏は色んなジャンルのものをかけた。おそらく現代音楽からブラジル、アフロキューバン、ミニマル、フリー、AOR….それらが全然コラージュぽくならず自然に一つになっており、つまるところ、何かとても確かで、かけがえのない、でも得体の知れない、わけの分からないもの、そういった何かが氏のDJの間中ずっと貫いていたのだった。
だから何をかけても違和感というのはなかった。奇妙だが、一体感、着地感、があり自然だった。
それは何千年も先のダンスミュージックを想起させた。
ノンビートでギンギンに盛り上がって踊り捲ってるビジョン、、、神官が吹く簫で舞う巫女みたいな。
一種の周波数だけをDJが調整してダンスミュージックになってる世界。

おもしろかったのが、氏がパーッカッションハウスの後に、非常に間の長いフリーのインプロバイズドピアノのソロをMIXした時。陽光の下、それまで踊っていた人が、その踊っていた形のままフリーズし、それらヒューマンスカルプチャーの間を一陣の風が通り抜け、そして不協和音のピアノがポロロン、ピロロン。。。まるで現代美術館の庭園の様なアート状況を造り出していた。

DJの話しばかりになりましたが、このCDを聞いて私は一種の観木感、、、のようなものを抱きました。
奇妙な枝ぶりの、思わず感服つかまつってしまうコブシをもった原生木を見ている様な。
自然の持つ自然なストレンジネス、ありえないフォルム。

ところで内海さんこれオーディオエネピー使ってらっしゃるんですか?